サンプルレートとAD/DCコンバータ

前回、サンプルレートについて触れた通り、高いサンプルレート
でサンプルすると、より精密に原音のオーディオ信号を再現
することができる事について触れました。

実際、聴覚上、例えば私の持っている録音機、
EDIROL R-o9HR
http://www.roland.co.jp/products/jp/R-09HR/
は、サンプルレートの選択が44.1/48/88.2/96kHzと4段階
選択可能だ。単に室外の音をRecボタンを押して聴いただけでも、
高サンプルレートになればなるほどぱっと聴き、「いい音」がします。
例えばそれを録音して、スタジオで作業する事となれば、きっと
高いサンプルレートで録音したオーディオの方が
エンジニアサイドとしては気持ちよく作業できるのではないか?
と推察します。

さて、高サンプルレートの利点についてはもう散々話して
来たが、高サンプルレートの弱点?は?

それには、デジタル変換の際のエラーである「エイリアシング
と関連して来ます。

では、まず「エイリアシング」とは、アナログ信号がデジタル信号に
変換される時のエラーで、ナイキスト周波数(サンプリング周波数の
半分の値の周波数)以上のシグナルを正しく読み取れず、折り返して
しまうという現象。例えば、サンプリング周波数が20KHzだとすると
そのナイキスト周波数の10kHz以上、例えば12kHzにピークがあった
場合、2kHz折り返してしまうので、「歪み」が生じる訳ですが。

CDのサンプルレートは44.1kHz、その半分は20.5kHz。
人間の耳に聞こえる周波数の限界値が20hz〜20kHzなので、
最も、その人間の聴覚上聴こえない、
20kHz以上のとこに「エイリアシング」が起こってもどうやって
聴こえるんだ?という説もありますが、、、。

その「エイリアシング」によるサウンドの「歪み」を防ぐため、
AD/DAコンバータ(アナログーデジタルコンバータ/
デジタルーアナログコンバータ)にはローパスフィルターが
かけられていて、20kHz以上はカットされています。
(正確に言うと、20kHzからカットが始まり、22.05kHz以上
は-120dB以下にカット)
エイリアシング」によるノイズ(ディストーション)が
聴覚上聴こえないようにという理由でローパスフィルターが
採用されている訳ですが、フィルターを通るという事は、
確実に音質を下げます(というか変わります)。

では、サンプルレート96kHzと44.1kHzの違いとは?

96kHzで録音したならば、最終的には44.1kHz(CD規格)に
コンバートしなければならないので、そこでdegrade(音質降下)
が起こってしまいます。

44.1kHzで録音のオーディオであればサンプルレートを揃えると
いうコンバートが必要ないので、コンバートによるdegradeは
ありません。

では、リスナーにとって96kHz録音と44.1kHz録音の聴覚上の
誤差はどれくらいなのでしょうか?

というか、CDを聴いて、どのCDが44.1kHz録音でどのCDがそれ
より高サンプルレートの録音なのかなんて、普通にわかりません。

結局のところ、このサンプルレートが何に関係するかと言えば、
レコーディングエンジニア、クライアント、つまり制作側の気分
の問題ではないかと思います。(かなりテキトーな意見ですが)

しかし、この「気分」というのは音楽制作にはとても大事な要素
の一つだと私は思います。エンジニアがルンルン♪でレコーディング、
ミックスすると、きっと、その音楽がよくなる要素が一つ
加わることだと思います。