Audio Restoration (ノイズリダクション)for Music

ノイズリダクションの仕事は、大きなプロジェクトであればしっかりプロセスされることが望ましい。例えば、オーケストラ、吹奏楽、シンフォニーなど、構成が大きく、ダイナミックスレンジが大きいジャンルの音楽であれば、曲中のすごく静かな場所にほんのちょっとの事であっても、座っている椅子の音、管楽器に奏者が演奏と関係ないタイミングで当たったクリックのノイズ、強すぎる息の音、譜面をめくる音など。歌ものでは、リップノイズや、口の中でツバを飲んだ音を繊細なコンデンサーマイクで録音する事に寄ってこれらの余計な音を拾ってしまう事もある。意図しない電気的な音や、レコーディングスタジオではない場所での録音中に入ってしまったhum/Buzzなどは、取り除く事が望ましい。


特に、歌っているのと同時の口の中のツバの音は、ノイズリダクション用のソフトウェアがその場所を「ノイズ」としてピックアップする事ができないので取り除くのはむずかしい。ライブではいくらツバを飛ばしても、声を張り上げてもその場の空気がよければよしだが、レコーディングの時はコンデンサーマイクが繊細に拾ってしまうので、歌い手が思っているよりも大きく録音されてしまう事がある。


数々のQC、ノイズリダクションを担当させてもらったが(最近ではXMenのサウンドトラック、去年は6 Miranda Driveという映画の本編の音楽)、マスター後のQCの場合は時間もあまり割けないし、クライアントと一つのノイズの為に連絡を取る訳にはいかないので、最も電気的な問題がある場合のログに絞らなければならない。その場合、何を音楽の一部と判断するかを考えてログを出す事に努めている。例えば、アコースティックギターピッキング中、アルペジオを弾いている時に手をボディーに当ててしまった音、ピアノのペダルの音、などはあまりにも酷くない場合は、そのまま残しておいてもよいと思う。


勿論、クライアントさんからリクエストがあった場合は取り除くが、そうでない場合は、何をノイズと判断して取り除くか、判断しなければならない。