ノイズリダクション

さて、私のインターンしているマスタリング
のスタジオには、純粋なマスタリング
の他に、「ノイズリダクション」の依頼が来ます。

普通にレコーディングされて、普通にマスターした音源であっても
ノイズリダクションという過程は実行されますが、
(クライアントの予算にもよります)

よく来るのが、昔の音源、マスターテープ、レコード音源のノイズリダクション。
純粋にノイズリダクションだけではなく、その後、
モノラルで録音された音源をステレオ(フェイクステレオですが)として
作り直したり、マスターし直したりと、作業は様々ですが、

本日はノイズリダクションのみに焦点を当てたいと思います。

ノイズリダクションと言っても、色んなノイズの種類があるので、
ノイズによって適切な処置をとらなければなりません。

Hum
Click
Crack
Clip

などが主なノイズの種類。これらはだいたいレコーディングの時に
誤って入ってしまったという場合が多いです。

本日のクライアントさんの依頼は、、、

昔どこかで録音したピアノの曲(クラシック)の音源で
かなりノイズがヒドいのをできるだけ減らしてくれといった内容。

オリジナルの音源は、とにかく雑音が最初から最後まで
ザーーーーーー、ゴーーーーーーーー、グオーーーーーー。
譜面をめくったような音だったり、誰かがドアをあけて
出入りしている音とか。
おまけに、マイクかなんかの電源のスイッチがブチ!!って
思いっきり入っている場所が何カ所かありました。

出版するという意図ではなく、依頼主が個人的に
残したいというものらしいので、出版できるレベルに
まではしなくていいとの事でしたが。

一体どうやってこれを直すんだ!!???って私なら
諦めてしまいそうなところですが、
いやいやいやいや、、、すみません、私が甘いんですよ。

さて、本日のジョナサンの作業を生レポです。

まず、マイクかなんかのスイッチがブチ!!!って言っている
部分に関しては、どうにもならないので、
編集で同じ演奏箇所を探し出して、差し替え。
しかし、一カ所、どうしても全く同じ場所というのが
見つからなかったので、トップノートだけ同じ場所
と強引に差し替え。それも、それがバレないように
(まあわかるけど)差し替えの位置を調節してなんとか
うまくworkさせてました。
完璧ではないですが、マイクのブチ!!よりは全然、、、、
というかその曲を知っている人であったり音楽家
が聞いて批評するとかいうんじゃなければ本当に
全然聞いてておかしくなかったです。

そして、本日活躍してくれたものはこちら

izotope RX
iZotope RX 7 | Noise Reduction & Audio Repair Software

本当に優秀なノイズリダクション系のソフトです。
画面の、黄色くなっている部分が、ノイズのある場所です。

まず、De Noiseというプラグインで、全体的なノイズを
アナライズさせ、ノイズがより多い周波数(特にLow)
を削ります。削るにしても、どさっと削ってしまうと、
本丸の音楽の部分までなくなってしまうので本当に
細かい作業をやります。

次に、部分的に細かくノイズの箇所を探し出し、
"Deconstruct"というプラグインで、
"Tonal Level"(音楽として必要な場所)と"Noise Level"(要らない部分)
の音量のレベルを調整します。

一応、You Tubeに映像があるのですが、本日のファイルはもう、
こんな生易しいレベルじゃあなかったです。

ここまでで、もう、白黒映画と同じくらいの?
あるいはもうちょっと静かなノイズにあっさりと生まれ変わって
いましたね。

ノイズを消すという作業は、特定の周波数に対して
レベルを下げている訳ですから、音楽としておいしい音域も
消されちゃう訳です。しかし、そこをどっちを取るか、
ノイズを消す事を選択するか、音楽的な要素を残すか
を経験によってうまくやるのがエンジニアの腕に全て
かかってきます。

ノイズ処理が終わったら、次は、いつものDAWソフトに
入れて、ちょっとしたマスタリング。
EQを使ってHiをリフトアップさせ、問題のある帯域を調整。

と、、、これで終わりかと思いきや、、

今度は、そのファイルをまたizotope RXに戻し、更に
リフトアップさせた事によって増えたノイズを更に処理。

いや、もう、マジックとしか言いようがないです。

というか、セッション始まる前に
どないすんねん!!って投げやりな事がちょっとでもよぎって
しまってごめんなさい。